非安定(無安定)マルチバイブレータ回路
非安定(無安定)マルチバイブレータ回路は、左右のトランジスタが交互にON、OFFを繰り返す回路です。
電子工作において、定番の回路ですが、その動作原理は非常に難しく、正確に理解している人はあまりいないのではないでしょうか。
いっしょに、非安定(無安定)マルチバイブレータ回路の動作原理の完全理解を目指しましょう。
①トランジスタQ1にベース電流が流れて、トランジスタQ1がON状態になったと仮定します。左側のLEDは点灯します。eB2は約0.6Vの電位になりますので、ベース電流は約0.12mA((6V-0.6V)÷47kΩ)です。
②この回路のベース電流は約0.12mAだから、コレクタ電流は約12mA(0.12mA×100)となるので、トランジスタQ1がON状態では、e1は約0Vの電位になります。
※トランジスタを飽和領域で利用する場合は、コレクタ・エミッタ間電圧は約0Vになります。この回路の飽和領域は、コレクタ電流が約12mA((6V-2V)÷330Ω)流れるときです。
③コンデンサC1の極板間には電位差があるので、e1が0Vになれば、eB1はコンデンサC1の極板間の電位差分だけマイナスの電位になります。
④eB1の電位がマイナスになると、トランジスタQ2にベース電流が流れなくなるので、トランジスタQ2がOFF状態になります。右側のLEDは消灯します。このときe2の電位は約6Vです。
⑤コンデンサC1の放充電によりeB1の電圧は次第に上昇して、トランジスタQ2にベース電流が流れ始めます。このとき、eB1は約0.6Vの電位になります。
⑥トランジスタQ2にベース電流が約0.12mAが流れて、トランジスタQ2がON状態になります。右側のLEDは点灯します。e2は約0Vの電位になります。
⑦コンデンサC2の極板間には電位差があるので、e2が0Vになれば、eB2はコンデンサC2の極板間の電位差分だけマイナスの電位になります。
⑧eB2の電位がマイナスになると、トランジスタQ1にベース電流が流れなくなるので、トランジスタQ1がOFF状態になります。左側のLEDは消灯します。このときe1の電位は約6Vです。
⑨コンデンサC2の放充電によりeB2の電圧は次第に上昇して、トランジスタQ1にベース電流が流れ始めます。このとき、eB2は約0.6Vの電位になります。
⑩トランジスタQ1にベース電流が約0.12mAが流れて、トランジスタQ1がON状態になります。左のLEDは点灯します。e1は約0Vの電位になります。
これは②の状態に戻ったことになります。
これで、動作原理はもう理解できたでしょうか?
非安定(無安定)マルチバイブレータ回路の動作原理については、多くの書籍でも取り上げられていますが、わかりやすさを主眼に、実際の動きの一部を省いて説明しているものが多いようです。以下の書籍は、わかりやすく、しかも詳しく説明されていますので、おすすめします。
コメント
コメントを投稿